日本の農業就業人口の改善をして、どんな状況でも国民が満足できる状況を作り出すことについて
テクノロジーが発展して経営的に好成績を上げていると、若者はそれらの高収入が見込める産業へ就職したいと願うのかもしれませんが、人間の生活の基本となる食料において、国内で食物の生産をすることの大切さを考え直したいと思います。
戦後直後は日本はまだ農業大国でありましたが、近年になり農業人口の減少と高齢化がみられるようになりました。
そこで、ここでは具体的な農業人口の統計について、農林水産省の資料を基に現状をご説明します。
また、社会において儲かる産業のことだけを考えるのではなく、「食」という人間にとって欠かすことのできない分野の基盤を確立することの重要性を、世界中で起きている様々な出来事を基にご説明します。
農林水産省による農業就業人口の移り変わり:平成22年から31年
農業就業人口の移り変わり
農林水産省では、毎年農業人口の移り変わりを統計にしています。
こちらの資料は平成22年と、平成27年から31年までの5年間の農業就業人口を示しているものです。
約10年前の平成22年には260.6万人いた農業人口が、平成31年の段階では168.1万人となり、約92.5万人の農業人口が減少しています。
また、農業人口の平均年齢も、平成22年には65.8歳、平成31年には67歳と、少しずつではありますが上昇傾向にあります。
どちらにしても、65歳以上は年金対象者であり、農業就業者の人口の年齢層が高いことが分かります。
注1.「農業就業人口」とは、15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数の方が多い者をいう。注2. 「基幹的農業従事者」とは、農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「主に自営農業」の者をいう。
農業への新規参入者の人口の移り変わり
次の表では、平成25年から29年までの5年間、農業への新規参入者の人口を示しています。
平成25年以降、毎年、新規の就農者は5万人以上います。しかし、49歳以下の新規参入者は2万人ほどです。
また、新規で自営農業を始める方は平成25年以後4万人ほどいますが、49歳以下は1万人ほどです。ということは、新規で自営農業を始める75%(約3万人)は50歳以上ということになります。
この統計を見ても、農業への新規参入者の年齢層も比較的高めだということが分かります。
国として国内の農業就業者を守ることが大切な理由
テクノロジーの発展などで、農業以外の産業で外国から国にお金が入るようになると、農業よりも効率が良く稼げる方法で経済を回してしまいがちですが、そこには危険な落とし穴があります。
世界が平和で多国間で問題なく貿易が行われていれば良いですが、国同士で問題が生まれたり、食物の輸入国が自然災害の被害に遭ったら、そこから食物の輸入はできません。
ここ数年の身近な例を挙げると、香港では中国と一国二制度の為に反乱が起こりました。もし、香港で食物や水のなど、人間の生活に欠かせない根本的な供給ができていなたら状況は違っていたかもしれません。
しかし、食物も水もすべて中国に頼っていたなら、その供給源を絶たれては香港は成り立ちません。
また、2020年10月に入りフランスとイスラム教国家でのトラブルが起き、イスラム教国家ではフランス製品のボイコットが始まりました。
このように、もし他国間での貿易が滞るようなことになった場合、食料を輸入に頼っていては国が衰退してしまいます。
しかし、トルコの様に対外国に対する通貨の下落があったとしても、国内での食料の供給率が高ければトルコ国内で日常生活が不憫だと感じることはありません。(2019年に現地で調査・体験した結果です。)
経済がどのような状況にあろうとも、国内で食料の供給があるなら対外国に対する経済がどうであろうとも、国が揺らぐことは無いのです。
根本的に、人は衣食住が充実していれば、問題なく暮らしていけるからです。
日本においても、戦後、農業就業者は減ってきていますが、もしその人口が減り続け、最終的に多くの食料を輸入に頼らなければならない状況になった場合、何らかの理由で輸入を止められたら、国の存続に関わる問題になりかねません。
以前に日本の食料自給率について記事にしていますので、こちらから日本の現状を確認いただけます。
>>食料自給率 日本 日本人の食生活の62%は輸入の食材に頼っている
どのような状況にあろうとも、農業就業者を大切にして国内での農業を保っていくことが大切です。
そのために、私はベーシックインカム制度を取り入れることを推進しているのです。
若者でも、資金が無くても、大型農業が不可能で小規模農業でも、誰でも農業に参入しやすい状態を作ることで、今の農業就業人口を改善していく必要があると思うからです。
小規規模農業者が増えるなら、農薬の様に自然破壊する物や、ホルモン剤の様に食物自体を変えてしまう様な化学薬品の使用は減るかもしれません。
その結果、多くの人が安全な食物を食べることができ、最終的には健康な人が増える結果になるでしょう。
国内の農業就業者数を改善して長期的な生活基盤を作ることのまとめ
世間では色々なニュースが飛び交っていますが、国が健全な状態でみんなが満足して暮らせるためにはどうしたらいいのかを考えていくことが大切です。
そのために、食の基盤がゆるぎない状態であることが重要です。
人間の生活にとって、欠かすことができないことは何かということを理解して、その基盤を守りながら政治を行う必要があります。
どんなに国際化を推奨しても、感染症などで国境が閉じられたり、自然災害などで貿易が滞ったり、また民族間の問題で輸入ができなくなったり、何が起こるか分からない世の中において、食料がある事は国民の生活と健康を維持していくうえで、一番大切なことです。
その揺るがない基盤を確立しておくことが国家(政治)として大事なことではないかと思います。
どんなにテクノロジーが発展しても、そこに食料がなければ生きていくことされできないからです。
また、食品ロス関係、過剰にある食物の利用方法についてはこちらの記事をご覧ください。
>食品ロスの現状と、残った食物を無駄にしない食品ロス対策は環境対策
参考:農林水産省