便の悪臭の発生は腸管内に腐敗物がある証拠であり、腸内環境が改善されれば臭いも消える!
ここ数回の記事では、食べるものが身体を作り、食べるもの(栄養素など)によって健康を維持できたり、病気の予防になることをお伝えしました。
そしてもう一つ大切なことは、食べ物を体に取り入れたら、それが正常に排出されなければいけません。
腸管内では、発酵(善玉菌による分解活動)と腐敗(悪玉菌による分解活動)が行われています。
善玉菌が圧倒的に優勢な腸内環境であれば、食べ物は発酵しますので腸の蠕動活動が活発となり、短時間の自然排便になります。
悪臭(腐敗臭)がなくて便器や紙が汚れない、スムーズな排便は、病気予防と免疫保持の基本です。
免疫とは何か?
疫病を免れると書くように、病気を妨ぐための防御機能であり免疫システムには大きく分けて2つあります。
体内の免疫システムと体外の免疫システムです。
現代医学の治療概念は、すでに起きている病気への対処が中心ですので、体内の免疫システムを見ますが、予防医学の予防概念は、病気が起きる前の未病段階での対処が中心であり、体外の免疫システムを重視します。
病気を防ぐために最初に働く免疫システムは、視覚・嗅覚・味覚などの五感です。病原体を体内に入れないために見て嗅いで味見をして、食べてよい物かどうかを判断します。
もし有害物を食べてしまった場合は吐き出します。胃を通過してしまった場合は、下痢を引き起こして素早く排泄します。
胃や腸は、口から肛門までパイプが通っているようなものであり体外ですが、腸管は栄養分の吸収場所であり体外から体内への入り口です。
もし、腸管内が不潔な状態であれば、栄養分と一緒に有害物が体内に吸収されるようになり、血液を汚します。(これが、血液が汚れる最大の原因です。)また、悪臭の発生は、腸管内に腐敗物がある証拠であり、腸管内が不潔である証拠です。(腸管内が清潔なら、悪臭(腐敗臭)がありません。
有害物を体内に入れないことが最も重要な免疫システムであり、栄養分の吸収場所である腸管こそが免疫の最大の砦と呼ばれる理由です。
有害物が体内へ吸収された後は、体内免疫システムの主役である白血球の役割となります。
腸内の悪玉菌が増える原因
悪玉菌は、たんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で腸内に増えてきます。
腸内細菌は肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などの疾患と密接な関係があり、これらの患者の腸内細菌は健常者と比べて著しく変化していることが知られています。
一方、健康的な腸内細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌(正確には乳酸桿(かん)菌)などの善玉菌が優勢であり、その他の菌ができるだけ劣勢である状態です。
善玉菌は乳酸や酢酸などを作り、腸内を酸性にすることによって、悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にし、食中毒菌や病原菌による感染の予防や、発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境を作ります。また善玉菌は腸内でビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)を産生します。
腸内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やす方法
腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて二通りあります。
まず一つめは、健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌である「プロバイオティクス」を直接摂取する方法です。食品ではヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含むものです。
ただし、これらの菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことはないとされています。そのため、毎日続けて摂取し、腸に補充することが勧められます。なお、善玉菌は生きて大腸まで到達しないと意味がないと言われますが、死んでしまっても善玉菌の体を作る成分に有効な生理機能が期待できます。
二つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。
食品成分としてはオリゴ糖や食物繊維で、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。消化・吸収されることなく大腸まで達し、腸内にもともと存在する善玉菌に、好きな炭水化物の「エサ」を優先的に与えて、数を増やそうという考えです。
オリゴ糖は、大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナなどの食品にも多く含まれていますので、これらの食材を食事に取り入れると良いでしょう。
腸内環境が改善されたかどうかの確認方法
腸内細菌が健康的な好ましい状態であるかどうかを知るもっとも簡単な方法は、便を観察することです。
善玉菌がたくさん酸を作っていると、色は黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、形状は柔らかいバナナ状が理想です。
逆に黒っぽい色で悪臭がある便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態です。健康づくりにはおなかの中の同居人である腸内細菌の状態を良く知り、仲良くなることが大切です。
腸内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やす方法まとめ
ここでは、腸管内の健康状況と、腸内環境の改善状況の確認方法をご紹介しました。
普段の食生活でプロバイオティクスやオリゴ糖の摂取は大切ですし、また野菜中心の食生活をすることによって腸内環境は改善されるでしょう。
ヴィーガン食に近い酵素を多く含む生の果物・野菜の摂取が多いときには腸内環境がとてもよく、食べたものは数時間後には排出されるようです。
♦酵素についてはこちらの記事を参考にしてください。
野菜や果物をとる食生活を続ければ、脳梗塞・心筋梗塞の予防につながる
♦腸内環境を改善すると肌の調子もよくなり、アトピーなども改善しますので、肌荒れやアトピーなどに悩まれている方は、こちらの記事を参考にしてください。
敏感肌・乾燥肌のアトピーは乳酸菌による腸内環境の改善で治る!
出典:厚生労働省Eヘルスネット、健康365