紫外線も喫煙もストレスも、水晶体の酸化を促進し、白内障になる年齢を早めてしまう
紫外線は、肌にも目にも良くないもので、紫外線に当たり過ぎると、高齢になったときに白内障になりやすくなってしまうそうです。
10年、20年後に肌がシミにならないように、若い時から紫外線対策をするように、目の白内障を避けるためにも同じ対策が必要になります。
前回に引き続き、井上眼科病院理事長の井上賢治のさんによる、白内障を防ぐためのコラムをご紹介します。
白内障になると視野がかすむことが多い
目の水晶体がにごると網膜に届く光の量が減って暗い場所では見えずらい
白内障とは、目の水晶体(カメラのレンズに相当する目の器官)の異常によって、物が見えにくくなる病気です。老眼と同様、年を取ると起こりやすくなります。発症率は、六十代で約七割、七十代では八割以上に上ります。
白内障になると、一般的に次のような自覚症状が生まれます。
①眼鏡をかけていても手元がよく見えない
②新聞や本などの小さな文字が読みにくくなる
③暗い場所での見えづらさが増す
④物が二重に見えたり、かすんで見えたりする状態が続く
⑤明るい場所に出たときに、非常にまぶしく感じる
⑥視野が白っぽっく見えたり、物の色が黄色っぽく見える
白内障でこうした症状が起こるのは、もともと透明な水晶体がにごってくることが原因です。水晶体が透明であれば、外界からの光は正常に眼球に入り、網膜に届きます。しかし、にごってくると光は水晶体を正常に通過しなくなるのです。水晶体がにごって通過する光の量が減れば、物が見えにくくなったり、暗い場所での見えづらさが増したりします。にごりによって光が錯乱するとまぶしく感じ、異常な屈折をした場合は、二重に見えるようになるのです。
では、白内障がなぜ起こるのかご説明しましょう。
水晶体は、たんぱく質と水からできています。水晶体は若くて健康な状態なら、たんぱく質の線維は規則正しく並んでいます。年を取ると、たんぱく質も老化し、水分も減っていきます。すると、たんぱく質の線維の配列がくずれ、水晶体の中ににごりが生じてくるのです。また、加齢に伴う水晶体の酸化も、白内障の引き金といわれています。
水晶体のにごり方には、周辺部から起こる皮質型をはじめ、水晶体の後面の膜がにごる後嚢下型や、中心に近い部分から始まる核白内障と呼ばれるタイプがあります。
水晶体の酸化を防ぐためには紫外線から目を守るだけでなく喫煙・ストレスも厳禁
加齢が白内障の最大原因と言えるのですが、目に悪影響を与える環境にも注意が必要です。
特に、目が紫外線を浴びつづけることや、喫煙、ストレスが白内障を促進させます。これらは活性酸素という強い酸化力(さびつかえる力)を持つ酸素を増やし、水晶体の酸化を進めてしまうからです。活性酸素は私たちの体内で作られ、ばい菌などを破壊してくれる役割がありますが、増えすぎると健康な細胞を痛めつけてしまう性質があります。ふつうは不要となった活性酸素は酵素によって除去されるのですが、加齢に伴って酵素の働きは衰え、活性酸素は除去されにくくなっていきます。
紫外線も喫煙もストレスも、水晶体の酸化を促進し、白内障になる年齢を早めてしまうことが少なくありません。紫外線は秋になっても強いので、外出のときには紫外線カット機能のあるサングラスや帽子で対策しなければなりません。
著書:井上眼科病院理事長・井上賢治
1993年、千葉大学医学部卒業。98年、東京大学医学部大学院修了。東京大学医学部付属病院分院眼科医局長などを経て、2003年、医療法人社団済安堂井上眼科病院付属お茶の水・眼科クリニック所長に就任。06年、医療法人社団済安堂お茶の水・井上眼科クリニック開院と同時に院長に就任。08年から現職。
公式サイト:https://www.inouye-eye.or.jp/clinic/
出典:健康365
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