煙草を吸う、紫外線を浴びる、野菜や果物を食べない、は目の老化にもつながる!
視野の中心が黒く見えたりゆがんだりしていませんか?
それをチェックするには、原稿用紙や方眼紙の利用がおすすめです。このような、自分でもできる目のチェックをして、加齢黄斑変性による失明を防ぐ方法をご紹介します。
タバコを吸うと体内の活性酸素が増え死亡が有害物質になるため網膜が傷む
加齢黄斑変性は、欧米では中途失明原因のトップです。日本でも、五十歳を過ぎた中高年の男性に多くみられ、いまでは中途失明原因の第四位となっています。
老化は加齢黄斑変性を招きますが、次に挙げる生活習慣も発生に深くかかわっていますから、チェックしてみましょう。
♦タバコを吸う
喫煙は、体内で活性酸素(酸化作用の強い酸素)を増やす原因になります。喫煙習慣のある人はもちろん、過去に喫煙経験のあった人でも、喫煙習慣のない人に比べると、二~五倍も加齢黄斑変性になる危険が高まることがわかっています。
活性酸素が体内に増えると、脂肪を過酸化脂質という有害な物質に変えてしまいます。この過酸化脂質が黄斑部を傷つけ、働きを悪くすることが、原因として考えられています。
喫煙が危険なのは、本人だけではなく、家族やまわりにいる人も受動喫煙で影響を受ける点です。
♦紫外線を浴びる
紫外線も、黄斑変性のリスクを高めます、紫外線が目に当たると、網膜色素上皮細胞(網膜のいちばん外側の層の細胞)が酸化し、黄斑部に活性酸素が発生しやすくなります。すると、喫煙習慣の項でも述べたように過酸化脂質が作られ、黄斑部を傷つけます。屋外での作業が多い人は要注意です。
白内障の人や白内障の手術を経験した人も、加齢黄斑変性になる危険が高くなります。
多くの場合、白内障の手術では水晶体を取り除き人工レンズを入れます。紫外線にはいくつかの波長があり、レンズを通過してしまう波長の紫外線は、網膜に直接あたるようになります。その結果、網膜が老化しやすくなり、加齢黄斑変性になりやすくなるのです。
♦野菜や果物を食べない
活性酸素の害を防ぐのは、野菜や果物に豊富に含まれているビタミンA・B12・C・Eなどの抗酸化ビタミンです。普段の食生活では極力、野菜や果物を食べる機会を増やしましょう。
加齢黄斑変性は真っ直ぐな線がゆがんで見えないか確認すれば早期発見が可能
加齢黄斑変性を正しく診断するには、眼科医での検査が必要です。主な検査について紹介しておきましょう。
加齢黄斑変性になると、視力低下が起こります。そのため、視力検査や眼底検査は必ず行われます。眼底検査は医師が直接目の奥まで見ることができるため、網膜の状態がよくわかり、出血や新生血管(新たに作られた急造血管)の有無などをチェックするとこができます。静脈から造影剤を注入して、新生血管などの状態を詳しく調べる造影検査もあります。
自分で簡単にできるのは、マス目を見て、まっずぐな線がゆがんで見えないのかの確認です。五十歳を過ぎたら一か月に一回、片方の目でマス目を見てチェックしましょう。原稿用紙や方眼紙を利用してもかまいません。
加齢黄斑変性の治療は、タイプによって異なりますが、萎縮型に関しては、現在のところ治療法がないのが実情です。一方、日本人に多い滲出型の治療法は、いくつかあります。薬とレーザーを併用する光線力学療法(PDT)も行われるようになってきました。
加齢黄斑変性は、治療は難しい病気ですが、喫煙をやめたり、紫外線をカットするサングラスをかけたり、食生活の改善を図ったりすれば、発祥は悪化の危険を遠ざけることはできます。
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出典:健康365 (2011年11月号)
松本眼科院長:松本拓也
1961年、大阪府生まれ。1988年、高知医科大学卒業。医学博士。奈良県立医科大学付属病院などでの勤務を経て、2001年、松本眼科を開院。日本眼科学会、日本緑内障学会、日本コンタクトレンズ学会、日本眼光学学会所属。日本眼科学会専門認定医。