有名人のコラム

お笑いタレント・近藤春奈『コンプレックスを笑い飛ばす』

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鉄板ギャグの[OOじゃねえよ」の原点は、小学生の頃に傷ついた経験にありました。

お笑いタレントの近藤春奈さんは小さな頃から太っていて、その体つきのせいでからかわれてきたそうです。その苦しさを笑いに変え、最初は強がりだったものが、だんだんと笑いに変えてくことができたそうです。

それから、人を笑わせることで快感を知るようになったと言います。

人を笑わせながら学生時代を過ごし、その頃からお笑い芸人になるのが目標だったようです。そんな近藤春奈さんのコラムがありますので、ここでご紹介します。

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人はそれぞれ持ち味がある。私には人を笑わせるという持ち味がある。

昔から太っていて、小学生の頃は男の子たちから「ブタ」とからかわれていました。

それに気がついた先生が「帰りの会」で、黒板に「近藤さんはブタではありません。人間です」と大きく書いたことがあって、子ども心に余計に恥ずかしかった記憶があります。

私なりに傷ついていましたが、いじられてシュンとすると周りの雰囲気を悪くしてしまう。悟られないように、ツッコミとまでは言いませんが、「ブタじゃないよ」と明るく返していました。すると、周りもなごむし、自分もラクになるということに気がついたんです。

最初はいじめられているんじゃない、という強がりがったのが、笑いが苦しさを楽しさに変えてくれることを知って、人を笑わせるのが快感になっていきました。

人と比べず、自分の強みを追求する

私が芸人をめざすようになったのは、笑いの絶えない家庭で育ったことに一因があるかもしれません。父は警察官という固い職業でしたが、家ではおもしろいことばかり言って笑わせてくれました。「春奈が芸人になったのは俺の血だ」と吹聴ふいちょうしているくらいです(笑)。

中学生になると、先生のモノマネをしたり、ギャグを言ってみんなを笑わせたり、クラスのムードメーカー的存在になりました。

いわゆる「イケてる子」たちのグループにも入れてもらって、「笑い」を取ることで自分の居場所を見つけたという感じです。

そのとき思ったのは、人はそれぞれ持ち味があるということ。可愛い子には可愛さが、頭のいい子には頭のよさという魅力がある。私には人を笑わせるという持ち味がある。

そこで私が可愛さや頭のよさで競っても勝てっこないし、意味がない。人と比べても仕方がないなと思ったんです。

私は人が笑ってくれるのがうれしいのだから、この道を追求しよう―。芸人になりたいと漠然と思いはじめたのも、この頃でした。

高校に入って、ある女の子からコンビを組まないかと誘われました。「ヤッタ―」と内心思ったものの、まだ高校生だし、私の方はそれほど真剣ではありません。

相方はすぐにデビューしたかったようで、気持ちの上で落差があり、結局、コンビは自然消滅。その子は、別の子とコンビを組んで、オーディションに受かってしまいました。

それを知ったときは正直焦りましたね。自分の身近にここまでお笑いに真剣な人がいて、しかも結果も出しているということに。

一方、私は憧れのままで何もしていない。これでいいのかと、猛烈な不安と焦りに襲われたんです。お笑いのこと、将来のことをはじめて真剣に考えるきっかけになりました。

その後、吉本の養成所に入りました。ここで埋もれてしまうのなら、それまでだと覚悟を決めていたら、ありがたいことに運よくデビューすることができました。本当についていたと思います。

笑ってくれると心が軽くなる

芸人になってあらためて思うのは、笑いは自分一人でつくっているのではないということです。

私のギャグ「OOじゃねえよ」は、そもそも人からネタをふってもらわないと成立しません。角野卓造さんなど、名前を使わせてもらっている方々のご好意もありますし、相方やご一緒した方に助けられて、私の笑いが成り立っているんです。

笑いが素晴らしいのは、笑った瞬間、人の心が少し開くこと。笑っているとき、人は無邪気で無防備になります。

人に笑ってもらって、相手の心の扉が少し開くと、そこにグイッと入っていける。

私にとって相手がどれだけ笑ってくれるかが、仲良くなれるのかのバロメーターです。とくに笑うツボが同じだと、「この人とは気が合うな」と無条件で受け入れられます。

また、悩んだり、落ち込んだりしても、友人に愚痴を聞いてもらって、最後に「でも、おもしろいじゃん」と言ってもらえると、それだけで心がふっと軽くなります。

私の人生に笑いは欠かせません。笑いを通して、いろいろな方と関わっていられることを本当に幸せに思っています。

お笑いタレント・近藤春奈

1983年、東京都生まれ。2003年、箕輪はるかと「ハリセンボン」を結成。コンビで活躍のほか、情報番組「スッキリ!!」(日本テレビ)、連続テレビ小説「花子とアン」(NHK)に出演するなど、多方面で活躍中。

出典:PHP平成28年8月10日号

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