偶然が重なり、それが自分にとって良い結果をもたらすことになった経験はありませんか?
そのような「意味のある偶然」をシンクロニシティと呼びます。ドイツの心理学者、カール・ユングによって説明されたのが始まりです。もちろん、そのような学術的な説明が行われる前から、人間はそのような偶然の一致を経験してきていると思います。
それは、「あの時、あの場所で、偶然起こったことが、今に繋がっている」などと言うような経験も、シンクロニシティと呼べることだと思います。
世界中では、意味のある偶然の重なり合いから、色々な出来事や人との出会いが紹介されている本が多く存在していますが、ここでは、転職を考えていたAさんの例をご紹介します。
Aさんは米国の東海岸にあるニューヨークで働いていましたが、一年を通してその気候にどうしても対応することができず、カリフォルニア州などがある西海岸や他国への転職を考え始めました。
リクルーターの紹介で、シアトルにある大手企業の面接をし、世界中を飛び回ることができる素敵な職業の内定をもらうことができました。しかし、お給料の面と、その地域の曇りの日の多さに、『なんとなく違うな』という違和感があり、結果的にその内定をお断りしました。
数か月後受けたサンフランシスコでの仕事は、Aさんの経験とバイリンガルであるという特殊な職業の仕事の内定をもらいました。しかも、その職業ではAさんの希望年俸よりも高い金額のオファーというなんとも不思議な縁があったのです。もちろん、東海岸からの引っ越し費用も全額支給をしてもらうことができました。
もし、数か月前に焦って転職していたら、その機会には巡り会わなかったかもしれませんし、そのような求人があったことも知ることもなかったのかもしれません。
というのも、Aさんが転職した会社は、ちょうど日本の会社の吸収合併を終わらせ、翌月に終わらせなければいけない年次決算の為に、日本語ができM&Aの会計処理の出来る人物を米国内で探していたというものだったのです。
もし、Aさんの仕事を探すタイミングがM&A以前だったら?とか、もしAさんがその時期に仕事を探していなかったら?そのような仕事には巡り会わなかったのかもしれません。
そして、その会社の業界こそ、学生時代から何年も働きたいと願っていたビデオゲームの会社だったのです。また、気候的にもAさんにとって良好な立地でありました。
仕事内容だけでなく、給料面でも福利厚生でも全てに納得のいく結果になったのも、その時期にちょうどタイミングよく、偶然と偶然が重なった意味のある偶然であるシンクロニシティだったということができるでしょう。
もちろん、それは会社側としてもそうであったと思うのです。Aさんがそのポジションにつくまで、会社は独自に人を探しており、多くの人が応募したようですが結局見つからず、最終的にリクルーターに頼むことになり、その時期にちょうどリクルーターに相談したのがAさんであった、というなんとも数多くの偶然が重なる結果になったということです。
このような出来事は、東洋的な言葉を使うのなら、「塞翁が馬」という言い方もできるのかもしれません。
今やっていることが失敗続きで、上手くいかなくても、その道を変えてみたら、ノーベル賞を受賞するほど花が咲いた!というご経験をしているiPS細胞で有名な山中さんの話はとても有名ですね。

「塞翁が馬」とシンクロニシティは少々意味合いが違うのかもしれませんが、シンクロニシティと呼ばれる結果に導かれるためには、「塞翁が馬」のような過程を経験をすることに意味があるのだと思います。
ですから、今、自分の理想通りに生きていない人がいても、それは悲観することではなく、まだそのタイミングではなかったりすることもあるのではないでしょうか。
また、理想通りに行っていないから、自分には何が必要なのか、何をしたいのか、何に楽しいと思えるのかが見えてくることもあると思います。
そして、その「意味のある偶然の一致」が重なるときには、自分が思った以上に好条件が重なる結果になるものだと思います。きっとそうなったとき、自分にとっても納得できるのだと思います。
もし、好条件がそろわなかったら、きっと心の中で「何かが違うな」と思う事になるからです。その妥協が必要なときもあるのかもしれませんし、結果的にその道が正解になる人もいるかもしれませんが、妥協したすぐ直後に「あ~、こっちにしておけばよかった!」などという経験がある人がいるのなら、これからは自分にとって良好な偶然の一致が重なるときを待つのも良いかもしれませんね。
それは、賃貸にしても同じことが言えると思います。
もしあなたにとって、立地的にも間取り的にも良好な賃貸があっても、そこに空きがなければ新しく入居することはできません。
しかし、もしあなたの賃貸の更新時期と、かねてから希望していた賃貸の空きが重なり、また金額的にも自分が考えていた金額以内に収まることがあったら?それをシンクロニシティと呼ぶのだと思います。
もし、自身の賃貸の更新時期や、希望していた賃貸の間取りの空き具合など色々な条件が偶然にも重なり合わなければ、巡り合うことはなかったかもしれないのですから。
もちろん、それは恋人や結婚にしても同じなのだと思います。
ですから、自分の希望や理想が分かっている人にとっては、そのような偶然の一致が重なったとき、意味のある偶然(シンクロしシティ)なのだなと気がつくことができ、ご自分にとって良好な判断ができるのかもしれませんね。
また、今は自分の理想の状況にいない人も、きっと偶然が重なりあるときがあり、きっと希望通りの状況になれることを願っています。